
参考デッキリストのURL:https://www.pokemon-card.com/deck/confirm.html/deckID/Gc4c4x-vxWAbS-8KDY8c/
マシマシラとの組み合わせによってダメカンをコントロールする「サーナイトex」デッキの全貌
現在BIG6の一角を担う《サーナイトex》は登場以来高い人気と実力を誇ります。その中でも《マシマシラ》を戦術の核に組み込んだ基本的な型である「マシマシラ採用型サーナイトexデッキ」です。
このデッキの最大の特徴は、《サーナイトex》の特性「サイコエンブレイス」が持つ「ダメカンが乗る」というデメリットを、《マシマシラ》の特性「アドレナブレイン」によって相手へのダメージ源に変換するというコンセプトにあります。
《サーナイトex》デッキが持つ高いエネルギー加速能力と展開力と、「ダメカンを自在に操る」という攻撃手段。これにより、相手の意表を突く多彩な攻め方が可能となり、戦略性の高いバトルが楽しめるよデッキです。
本記事では、この「マシマシラ採用型サーナイトex」の構築とプレイングについて、カード1枚1枚の役割から理想的な盤面展開、各対面への立ち回りまで解説していきます。
デッキのコンセプト:ダメカンを制する者がバトルを制す
このデッキの根幹をなすのは、一見するとデメリットに見える効果を、コンボによって強力な武器に変えるという発想です。まずは、その中心となる3枚のカードのシナジーから、デッキのコンセプトを深く理解していきましょう。
エンジンにして起点:《サーナイトex》の特性「サイコエンブレイス」
このデッキのエンジンは、2進化ポケモンである《サーナイトex》です。その特性「サイコエンブレイス」は、自分の番に何回でも、トラッシュから「基本超エネルギー」を自分の超ポケモンに好きなだけつけられるという、ポケモンカードゲーム全体で見ても屈指のエネルギー加速能力を誇ります。
特性「サイコエンブレイス」
自分の番に何回でも使える。自分のトラッシュから「基本超エネルギー」を1枚選び、自分の超ポケモンにつける。その後、つけたポケモンにダメカンを2個のせる。(きぜつしているポケモンに、この特性は使えない。)
この特性により、アタッカーを一瞬で起動させることが可能です。しかし、エネルギーを1枚つけるたびにダメカンが2個(20ダメージ分)乗るという重い代償が伴います。通常、このダメカンは自分のポケモンをきぜつしやすくするリスクとなりますが、本デッキではこのダメカンこそが最強の弾丸となります。
戦術の核:《マシマシラ》の特性「アドレナブレイン」
このデッキのコンセプトを象徴するカードが、たねポケモンである《マシマシラ》です。彼の持つ特性「アドレナブレイン」こそが、「サイコエンブレイス」のデメリットをメリットに転換する鍵となります。
特性「アドレナブレイン」
このポケモンにエネルギーがついているなら、自分の番に1回使える。自分の場のポケモン1匹にのっているダメカンを3個まで選び、相手の場のポケモン1匹にのせ替える。
この特性は、自分の場のポケモンに乗っているダメカンを、相手のポケモンに自在に移し替えるという、極めてユニークで強力な効果を持っています。「サイコエンブレイス」で意図的にダメカンを生成し、それを「アドレナブレイン」で相手に押し付ける。これが、このデッキの基本的な攻撃パターンです。
例えば、「サイコエンブレイス」を3回使ってエネルギーを加速すれば、自分のポケモンにはダメカンが6個(60ダメージ)乗ります。これを《マシマシラ》の特性で相手のポケモンに2回(2ターンかけて)移せば、ワザを使わずして60ダメージを与えることができるのです。これにより、相手のバトルポケモンだけでなく、ベンチにいるシステムポケモンを直接狙撃し、相手の戦略を根底から崩すことが可能になります。
ベンチ狙撃が可能な《サケブシッポ》のワザ「ほえさけぶ」
《サーナイトex》と《マシマシラ》のコンボが盤面をコントロールするテクニカルな動きだとすれば、試合を決める一撃を放つのが《サケブシッポ》です。
ワザ「ほえさけぶ」
エネルギー:超無
相手のポケモン1匹に、このポケモンにのっているダメカンの数×20ダメージ。[ベンチは弱点・抵抗力を計算しない。]
このワザは、《サケブシッポ》自身が負っているダメージに比例して威力が上がります。「サイコエンブレイス」との相性は言うまでもありません。
例えば、《サケブシッポ》に《勇気のおまもり》をつけ「サイコエンブレイス」でエネルギーを5枚つければ、ダメカンが10個(100ダメージ)乗ります。この状態で「ほえさけぶ」を使えば、そのダメージはなんと10 × 20 = 200ダメージ。相手のベンチポケモンにまで届く高火力を、たった2エネルギーで放つことができるのです。
乗せるダメカンを調整すればダメージが伸びていくため、相手の高HPな「ポケモンex」や「テラスタルポケモン」すら一撃で倒すポテンシャルを秘めています。
これらのカードが有機的に連携することで、「エネルギー加速 → ダメカン生成 → ダメカン移動による削り → 高火力ワザによるフィニッシュ」という、途切れのない強力な攻撃の連鎖が生まれるのです。
主な戦略と理想的な盤面
このデッキを使いこなすには、最終的にどのような盤面を目指し、そこに至るまでにどう動くかを理解することが不可欠です。ここでは、このデッキの理想的な盤面と、それを構築するための戦略を解説します。
戦略の要:トラッシュ管理と盤面構築の優先順位
このデッキは、単にカードを並べるだけでは真価を発揮しません。特に重要なのが「トラッシュ管理」です。
《サーナイトex》の「サイコエンブレイス」は、トラッシュに基本超エネルギーがなければ機能しません。そのため、序盤から《ハイパーボール》や《博士の研究》、そしてこのデッキのキーカードであるACE SPEC《シークレットボックス》の効果を使い、意図的にエネルギーをトラッシュに送ることが求められます。
《シークレットボックス》
このカードは、自分の手札を3枚トラッシュしなければ使えない。
自分の山札から「グッズ」「ポケモンのどうぐ」「サポート」「スタジアム」を1枚ずつ選び、相手に見せて、手札に加える。そして山札を切る。
ACE SPECカードである《シークレットボックス》は、手札を3枚トラッシュするというコストが、このデッキにおいてはメリットとして働きます。不要なカードと共に超エネルギーをトラッシュへ送り込みつつ、状況に応じて《ふしぎなアメ》や《ペパー》といった重要なカードを確定でサーチできるため、戦略の再現性を飛躍的に高めてくれます。
理想的な盤面の構築
このデッキが目指すべき最終盤面は、各ポケモンがそれぞれの役割を最大限に発揮できる配置です。
- バトル場:状況に応じたアタッカー
- 《サケブシッポ》:中盤以降のメインアタッカー。高HPのポケモンをワンパンする役割。
- 《サーナイトex》:自身も190ダメージのワザを持ち、十分なアタッカーとして機能します。
- 《ミュウex》:特性「リスタート」による手札事故の防止に加え、ワザ「ゲノムハック」で相手の強力なワザをコピーして奇襲を仕掛けます。
- ベンチ:システムポケモンとサブアタッカー
- 《サーナイトex》1〜2体:デッキの心臓部。最低1体、できれば2体立てることで、エネルギー供給が安定し、1体目が倒されてもリカバリーが容易になります。
- 《キルリア》1体:《サーナイトex》への進化元。このデッキリストの《キルリア》は特性を持たないため、あくまで進化の中継ぎとしての役割です。
- 《マシマシラ》1〜3体:ダメカンを移し替える司令塔。1体いるだけで相手にプレッシャーを与えられますが、3体いればベンチ呼び出しによってきぜつさせられても安心です。ワザも60ダメージ+こんらんという効果で、エネルギーに余裕があればここぞというときのサブアタッカーにもなります。
- 《リーリエのピッピex》1体:特性「フェアリーゾーン」で相手の場のドラゴンタイプのポケモンの弱点を「超タイプ」にします。これにより、《サーナイトex》の「ミラクルフォース(190ダメージ)」が、380ダメージに跳ね上がります。《ドラパルトex》や《タケルライコex》など、特定の相手に対する強力なメタカードです。
この盤面を構築することで、「サイコエンブレイス」による無限のエネルギー供給、「アドレナブレイン」による自由なダメカン操作、そしてアタッカーによる高火力攻撃という、三位一体の強力な布陣が完成します。
序盤・中盤・終盤の動き:勝利へのロードマップ
このデッキは、準備段階である序盤の動きが勝敗を大きく左右します。各フェーズで何をすべきかを明確に意識しましょう。
序盤(1〜2ターン目):最重要フェーズ、盤面の土台作り
このデッキの序盤は「守り」と「準備」に徹します。焦って攻撃する必要はありません。最優先事項は、後の展開の土台となるポケモンをベンチに並べ切ることです。
- 目標: 《ラルトス》を2〜3体、《マシマシラ》を1〜2体、ベンチに展開する。
- 使用するカード:
- 《なかよしポフィン》《ネストボール》《ボウルタウン》を駆使して、山札からたねポケモンを呼び出します。
- 手札にエネルギーが溜まっている場合は、《ハイパーボール》やサポート《博士の研究》を積極的に使い、後の「サイコエンブレイス」のために超エネルギーをトラッシュへ送り込みます。
- 理想的な動き(後攻1ターン目):
- サポート《ペパー》を使用し、山札から《ワザマシン エヴォリューション》と《なかよしポフィン》をサーチします。
- 《なかよしポフィン》を使用し、《ラルトス》2体をベンチに出します。
- バトル場のポケモンに《ワザマシン エヴォリューション》をつけ、ワザ「エヴォリューション」を使用。ベンチの《ラルトス》2体を山札から《キルリア》へと進化させます。
この動きが決まれば、後攻2ターン目から《サーナイトex》へスムーズに繋げることができ、理想的なスタートを切ることができます。
中盤(3〜4ターン目):エンジン始動と盤面コントロール
序盤で築いた土台をもとに、いよいよデッキのエンジンを始動させるフェーズです。ここからは、相手の盤面を見ながら柔軟に攻めていきます。
- 目標: 《サーナイトex》を1〜2体立て、特性「サイコエンブレイス」と「アドレナブレイン」を起動させる。
- 使用するカード: 《ふしぎなアメ》《ハイパーボール》で《サーナイトex》を場に出します。
- 攻撃プラン:
- 盤面コントロール: 《サーナイトex》の「サイコエンブレイス」で自分のポケモンにエネルギーとダメカンを供給し始めます。同時に、《マシマシラ》の「アドレナブレイン」を使い、生成したダメカンを相手のベンチにいる厄介なシステムポケモン(HPが低いもの)に移し替えて、相手の戦略を妨害します。ワザを使わずに相手のポケモンをきぜつさせることも可能です。
- サイドレースの有利化: アタッカーによるワザで応戦します。「アドレナブレイン」で相手の次のアタッカーを事前に削っておくことで、有利な状況を作り出します。
- カウンターの準備: もしサイドレースで先行された場合は、《カウンターキャッチャー》が強力な武器になります。相手の準備が整っていないポケモンをバトル場に呼び出し、確実にきぜつさせて反撃の狼煙を上げましょう。
終盤(5ターン目以降):高火力によるフィニッシュ
試合が終盤に差し掛かったら、サイドを取り切るための明確なプランを立てます。リソース管理が勝利の鍵を握ります。
- 目標: 残りサイドを一気に取り切るためのフィニッシャーを準備する。
- 使用するカード: 《夜のタンカ》《すごいつりざお》
- フィニッシュプラン:
- 《サケブシッポ》の起動: トラッシュの超エネルギーと、盤面のダメカンというリソースを《サケブシッポ》1体に集中させます。「サイコエンブレイス」を連打し、ワザ「ほえさけぶ」のダメージを引き上げ、ベンチのexポケモンなどを奇襲で仕留めます。
- リソース回復と再展開: 《夜のタンカ》や《すごいつりざお》を使い、トラッシュに送られた《サーナイトex》の進化ラインやアタッカーを山札や手札に戻し、盤面が崩壊しないようにケアします。これにより、相手は何度でも蘇るアタッカーと向き合うことになります。
- 《リーリエのピッピex》による奇襲: 相手の主力が高耐久の非弱点ポケモンである場合、終盤に不意に《リーリエのピッピex》をベンチに出すことで、相手の計算を大きく狂わせることができます。「ミラクルフォース」が380ダメージになる奇襲で、大逆転を狙いましょう。
カードごとの役割
デッキに採用されている全てのカードには、明確な役割があります。ここでは主要なカードをカテゴリ別に解説します。
キーポケモン
- 《サーナイトex》ライン(ラルトス3 / キルリア3 / サーナイトex2):デッキの根幹。2体の《サーナイトex》を立てることを目指すため、進化元は厚めの3枚採用。《キルリア》が倒されても後続を育てられるようにしています。
- 《マシマシラ》(4枚):このデッキの第二のエンジンであり、戦術の核。序盤に必ず場に出したいため、最大の4枚採用。複数体育てることで、相手に狙われてもコンセプトが崩壊しにくくなります。
- 《サケブシッポ》(1枚):明確なフィニッシャー。役割が終盤に集中しているため、サイド落ちをケアしつつも枠を圧迫しない1枚採用。《夜のタンカ》などで再利用も可能です。
- 《ミュウex》(1枚):手札事故防止の保険であり、相手のワザをコピーできる万能カード。特に、エネルギーが多い相手に対して強力なカウンターとなり得ます。
- 《リーリエのピッピex》(1枚):特定のデッキに対する最終兵器。リザードンexなど、超弱点でない高HPポケモンへの明確な回答として採用されています。
- 《フワンテ》(1枚):ダメカンを参照するサブアタッカー。HPが低いため《サケブシッポ》よりも少ないエネルギーで起動しやすく、小回りの利くアタッカーとして採用されています。《勇気のおまもり》をつけることでHPが120となり、アドレナブレインで100ダメージを負った状態にするとわざ「バルーンボム」で300ダメージを与えることが可能です。
グッズ・ポケモンのどうぐ
- 《シークレットボックス》(ACE SPEC / 1枚):最強の万能サーチカード。手札3枚トラッシュのコストが、エネルギーをトラッシュしたいこのデッキではメリットに変わります。
- ボール系(ハイパー4 / ネスト2 / なかよしポフィン1):ポケモン展開の基盤。《ハイパーボール》は《サーナイトex》サーチとトラッシュ肥やしを兼ねるため4枚。《ネストボール》《なかよしポフィン》は序盤のたね展開を安定させます。
- 進化補助(ふしぎなアメ2 / ワザマシン エヴォリューション1):《サーナイトex》への進化速度を上げるためのカード。《ペパー》からサーチできるため、この枚数でも安定して機能します。
- リカバリー(夜のタンカ2 / すごいつりざお1):長期戦を支える生命線。ポケモンを直接手札に加えられる《夜のタンカ》を優先的に採用。
- その他(カウンターキャッチャー2 / 大地の器3 / 勇気のおまもり2):《カウンターキャッチャー》は逆転の切り札。《大地の器》はエネルギーサーチとトラッシュ肥やしを両立。《勇気のおまもり》は序盤のたねポケモンの生存率を高めます。
サポート・スタジアム
- ドローサポート(博士の研究3 / ナンジャモ3 / リーリエの決心2):安定したデッキ回転を支えます。縦引きでトラッシュも肥やせる《博士の研究》、相手への手札干渉もできる《ナンジャモ》を主軸に採用。
- 《ペパー》(2枚):序盤の安定感を飛躍的に高めるサポート。《ふしぎなアメ》や《ワザマシン》に確定でアクセスできる点が非常に強力です。
- スタジアム(ミステリーガーデン2 / ボウルタウン1):《ミステリーガーデン》は、超ポケモンが並ぶこのデッキと最高のシナジーを持つドローエンジン。相手の厄介なスタジアムを剥がす役割も担います。
デッキの強みと弱み
最後に、このデッキが持つポテンシャルと、克服すべき課題を客観的に分析します。
デッキの強み
- 高い戦略性と対応力:「アドレナブレイン」によるダメカン操作は、バトル場だけでなくベンチへも干渉できるため、相手の戦略の根幹を崩すことができます。相手のキーポケモンを事前に削る、きぜつさせるなど、多彩な攻めが可能です。
- 終盤の圧倒的な決定力:《サケブシッポ》のワザ「ほえさけぶ」は、ベンチポケモンを狙撃できることで多様な戦略を実現するポテンシャルがあり、大逆転を狙える魅力を秘めています。
- 優れたリソース循環能力:《サーナイトex》の特性と豊富なリカバリーカードにより、一度倒されたアタッカーやエネルギーを何度も再利用できます。これにより、粘り強く戦うことができ、長期戦で真価を発揮します。
デッキの弱み
- 準備に時間がかかる(スロースターター):軸となる《サーナイトex》が2進化ポケモンのため、盤面が完成するまでに最低でも2〜3ターンを要します。その間に高速で攻撃してくるデッキに対しては、準備が整う前に盤面を破壊され、不利になることがあります。
- 特性への極度な依存:このデッキの動きは、ほぼ全て「サイコエンブレイス」と「アドレナブレイン」に依存しています。特性を封じる効果(通称:特性ロック)を持つカード、を使われると、デッキが完全に機能停止してしまうという明確な弱点があります。
- 繊細なダメカン管理:ダメカンを武器にする一方、自分のポケモンは常にきぜつのリスクと隣り合わせです。エネルギーのつけすぎで自滅したり、相手の計算外のダメージでキーポケモンが倒されたりする可能性があります。HP管理が非常にシビアで、プレイヤーの熟練度が求められます。
この「マシマシラ採用型サーナイトex」は、使いこなすには練習が必要な上級者向けのデッキですが、その分ポテンシャルは計り知れません。ダメカンという新たなリソースを操り、相手の戦略を支配する快感を、ぜひ体験してみてください。