【2025年環境デッキ】ドラパルトex&ヨノワール (ボムドラパ)デッキ解説〜理想とする盤面づくりやゲームを通した動きなど〜

デッキ解説

今回の例となるジムバトルの優勝デッキです
https://www.pokemon-card.com/deck/result.html/deckID/8aD8aG-LXwF4S-acc8Yc

2025年のスタンダードレギュレーション(G, H, Iマーク)環境において、多くの大会でも実績を残している「ドラパルトex・ヨノワール」デッキについて解説します。

このデッキの特長は、「火力」「戦略」「安定性」の三つの要素が高いレベルで両立している点です。ドラパルトexの攻撃性能、ヨノワールラインによる特殊な戦術、そしてドロンチがもたらす安定したデッキの回転率。これら三つの要素が連携することで、このデッキは高いパフォーマンスを発揮します。

本記事では、デッキの基本的な構造から、具体的なプレイ方法、環境に応じたカスタマイズ案まで、詳細な情報を提供します。

このデッキのコンセプト:三つの要素の連携による盤面構築

このデッキは、役割の異なる三つの進化ポケモンを主軸に構築されています。それぞれの役割と連携について解説します。

  • 火力担当 – ドラパルトex: デッキのメインアタッカーです。ワザ「ファントムダイブ」は、バトルポケモンに200ダメージを与えつつ、相手のベンチポケモンにダメカンを6個、好きなように乗せることができます。このワザを繰り返し使用することで、相手の盤面全体にダメージを蓄積させ、後の展開を有利に進めるための基盤を築きます。一度のワザでサイドを3枚以上とることも容易になります
  • 戦略担当 – ヨノワールライン: このデッキに特殊な戦術をもたらします。特性「カースドボム」は、自身をきぜつさせる代わりに、相手のポケモン1匹にダメカンを乗せる(サマヨールは5個、ヨノワールは13個)効果です。これは追加のダメージソースとして機能するだけでなく、意図的に自分のポケモンをきぜつさせることでサイドを相手に取らせ、自分がサイド枚数で不利な状況を作り出します。これにより、強力なグッズ「カウンターキャッチャー」の使用条件を満たすことが、このデッキの重要な戦術の一つです。
  • 安定性担当 – ドロンチ: デッキの安定性を確保する役割です。特性「ていさつしれい」は、自分の番に1回、山札の上を2枚見て1枚を手札に加える効果です。ベンチに複数のドロンチを準備することで、毎ターン複数のカードを確認し、その状況で必要なカードを手札に加えやすくなります。これにより、2進化ポケモンを主軸とするデッキの弱点である事故の確率を低減させ、計画通りの盤面形成をサポートします。

これら三つのラインがそれぞれ機能し、連携することで、デッキ全体のパフォーマンスが最大化されます。

主な戦略と具体的なプレイングのテクニック

このデッキを有効に活用するためには、いくつかの重要なテクニックを理解する必要があります。

1. ダメカン配置の基本と応用

「ファントムダイブ」で乗せるダメカン6個の配置は、試合の展開を大きく左右します。

  • 基本方針: 相手のデッキのシステムを担う、HPの低いポケモン(例:HP60~70のドロー特性を持つポケモン)、進化前ポケモンを優先的に狙います。きぜつさせることで、相手のデッキの回転を阻害できます。
  • 応用法(複数きぜつのセットアップ): HP70のポケモンが2体いる場合、それぞれにダメカンを3個ずつ乗せます。これにより、次の「ファントムダイブ」のベンチへのダメカン(6個)+ルチャブルの特性などで、その2体を同時にきぜつさせる準備が整います。
  • 対高HPデッキ: ヨノワールの「カースドボム」(130ダメージ)で倒せる範囲に相手のHPを調整するためにダメカンを使います。例えば、HP330のポケモンexに対して「ファントムダイブ」で200ダメージを与えた後、残りHPは130です。ここに「カースドボム」を使用することで、攻撃せずにきぜつさせることができます。

2. サイドプランと「カースドボム」の使用タイミング

「カースドボム」は強力ですが、サイドを1枚相手に与えるため、使用タイミングは慎重に判断する必要があります。

  • 使用を検討する状況:
    1. サイドが有利または互角の状況で、相手のベンチにいる育成中のアタッカーなど、バトル場のポケモン以上に脅威となるポケモンを処理したい場合。
    2. ドラパルトexの攻撃と合わせて、どうしても倒したい高HPのポケモンがいる場合。
  • 判断基準: 「カースドボム」でサイドを1枚与えることで、次のターンにカウンターキャッチャーで相手のポケモンex(サイド2枚)やポケモンVSTAR(サイド2枚)を呼び出して倒し、結果的にサイド交換で有利になる、という見通しが立つ場合に使用するのが最も効果的です。
  • サマヨールヨノワールの使い分け: サマヨール(50ダメージ)は、中盤のHP調整や、サイドを1枚先行させるための布石として使用します。ヨノワール(130ダメージ)は、より多くのダメージが必要な終盤の決定打として温存するのが基本です。

3. エネルギー管理

デッキ内のエネルギーは少ないため管理が重要です。

ハイパーボールなどのコストとしてトラッシュするカードを選ぶ際は、残すべきエネルギーに注意します。夜のタンカでも回収は可能ですができますが、なるべく事前にケアをしておきたいです。

各フェーズにおけるデッキの動かし方

序盤(1~2ターン目):盤面構築の徹底

この段階では、なかよしポフィンネストボールを使い、ベンチにドラメシヤヨマワルを可能な限り展開します。2ターン目にはドラメシヤドロンチに進化させることを最優先に行動します。ドロンチが1体でも場に出ることで、3ターン目以降のデッキの安定性が大幅に向上します。

中盤(3~4ターン目):攻撃と戦術の起点作り

ドロンチの特性で手札を整えながら、ドラパルトexへの進化とエネルギー供給を目指します。「ファントムダイブ」での攻撃が始まったら、相手の盤面にダメージを与えつつ、ヨノワールの進化準備や、カウンターキャッチャーといったキーカードを手札に確保し、サイド操作を行う準備を進めます。

終盤(5ターン目以降):詰めの盤面形成

これまでの攻撃で蓄積させたダメージと、手札に揃えたパーツを使い、勝利に必要な残りのサイドを取り切ります。相手の残りHPを正確に計算し、「ファントムダイブ」と「カースドボム」を組み合わせ、最も効率的なきぜつのさせ方を計画します。手札が不足した場合は、キチキギスexの特性で補充し、最後までリソースを切らさずに戦います。

デッキの弱点と対策

  • 特性ロックへの依存: デッキの主要な機能(安定性、戦術)が特性に依存しているため、特性を無効化する効果を持つカードやスタジアムは非常に厳しい相手です。
  • セットアップの遅さ: 2進化ポケモンが主軸であるため、高速で攻撃してくるデッキに対しては、準備が整う前にサイドを先行される展開になりがちです。ナンジャモなどの手札干渉も駆使し、ドラパルトexが攻撃を開始するまでの時間を稼ぐ必要があります。
  • ベンチへの攻撃: 育成中のドロンチヨマワルをベンチで倒されると、計画が大きく崩れます。特に、相手もドラパルトexを使用するミラーマッチでは、ベンチの守りが重要になります。

その他のドラパルトexのデッキタイプ

「ボムドラパ」も強力ですが、現在の対戦環境で上位を目指すためには、特定のデッキへの対策や、デッキ全体のポテンシャルをさらに引き上げるためのカスタマイズが不可欠です。以下に、大会等で実際に結果を残している、あるいは有力な選択肢として広く議論されている主要な派生アーキタイプを紹介します。

1. 「リザードンex」混合型(通称:リザドラパ)

現在、最も注目され、結果を残している派生アーキタイプが、この「リザードンex(悪テラスタル)」を組み合わせた構築です。

  • コンセプト ドラパルトexのワザ「ファントムダイブ」によるベンチへのダメカンばらまきで、相手のポケモン全体のHPラインを削ります。これにより、リザードンexのワザ「バーニングダーク」で相手のポケモンをきぜつさせられる範囲を大幅に広げることが目的です。
  • 強みとシナジー
    1. 完璧なダメージ補完: ドラパルトexが200ダメージを与えて削りきれなかった高HPのポケモンを、リザードンexが中盤以降に上がった火力で一掃します。また、ベンチにばらまいたダメカンにより、相手はHPが満タンのポケモンをバトル場に出しづらくなります。
    2. サイド戦略の強力な噛み合い: ヨノワールの「カースドボム」で能動的にサイドを相手に与える戦術が、相手が取ったサイドの枚数に応じてダメージが上がるリザードンexの「バーニングダーク」の火力アップに直接貢献します。サイドを1枚献上するだけで、リザードンの火力が30上がり、相手の計算をさらに狂わせることができます。
    3. エネルギータイプの共有: ドラパルトexのワザに必要な[炎]エネルギーと、リザードンexの[炎]エネルギーを共有できるため、エネルギー構成に無駄がありません。
  • 元の構築との違い ヒトカゲリザードリザードンexの進化ラインを採用するため、ヨノワールのラインが少し薄め(例:2-2-1)になったり、他のサポートポケモンの枠が削られたりします。しかし、それを補って余りある攻撃性能の向上が見込めるため、現在の主流となりつつあります。

2. 安定性向上型(ピジョットex)

デッキの安定性を高めるためのシステムポケモンを組み込む構築も、依然として有力な選択肢です。

  • ピジョットex採用型 2進化ポケモンが3ライン(ドラパルト、ヨノワール、ピジョット)となり、序盤の要求値は非常に高いですが、一度盤面が完成した際のデッキパワーは計り知れません。ピジョットexの特性「マッハサーチ」で、毎ターンその場に必要なカード(カウンターキャッチャーボスの指令ふしぎなアメなど)を確実にサーチできるため、プレイングのミスを減らし、デッキの最大値を安定して引き出すことができます。一部の大型大会で、この構築を使用したプレイヤーが入賞を果たしています。

総括

この「ドラパルトex・ヨノワール」デッキは、高い攻撃性能とそれを支える安定性を持ち、プレイヤーの判断が勝敗に大きく影響する、戦略性の高いデッキです。ダメカンの配置、サイドを操作するタイミングなど、多くの判断要素が存在します。使いこなすには練習が必要ですが、その分、高いパフォーマンスが期待できるデッキと言えるでしょう。この記事が、デッキ構築やプレイングの参考になれば幸いです。

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