チャンピオンズリーグ(CL)宮城大会 環境総括:ドラパルトex、タケルライコex、サーナイトexに加え、ユニーク構築も

2025年4月5日・6日に宮城県で開催された大型公式大会「チャンピオンズリーグ2025 宮城(CL宮城)」には、全国から5000人以上ものプレイヤーが集結しました。

本大会のマスターリーグ(一般カテゴリ)では、前回大会(CL福岡)で見られたような奇襲的なデッキ一色の結果にはならず、事前の予想通り環境トップクラスのデッキたちが上位を席巻しました。ここでは決勝トーナメントの上位デッキ分布注目のデッキタイプ、そして意外な躍進を遂げたユニークなデッキについて、代表的なカードや戦術を交えながら分かりやすく解説します。

決勝トーナメント上位デッキ分布

CL宮城の決勝トーナメント(ベスト16)に進出したデッキを見てみると、環境で使用率トップ3とされるデッキタイプ ドラパルトexタケルライコexサーナイトex の3つが突出しており、これらがそのままベスト8の多くを占めています:

  • 優勝:ドラパルトex (使用者:イトウ シュン選手)
  • 準優勝:サーナイトex – 超タイプの2進化ポケモンデッキ
  • ベスト4(トップ4):サーナイトex、タケルライコex + オーガポンex(ライコポン)
  • ベスト8(トップ8):サーナイトex ×2、ミロカロスex+リキキリンex、ドラパルトex

ご覧のように、ドラパルトexサーナイトexが複数枠を獲得し、さらに流行のライコポンデッキもトップ4に進出しています。一方で、ベスト8にはミロカロスex+リキキリンexという対メタ構築のコントロールデッキも食い込み、環境デッキへの対策を練ったユニークなタイプの健闘も見られました。これら主要デッキの特徴と戦術を詳しく見ていきます。

環境を席巻した主要デッキと戦術

1. ドラパルトexデッキ – 安定した盤面制圧力で優勝

ドラパルトexをエースに据えたデッキは、CL宮城の環境で最も存在感を示した一つです。ドラパルトexは2進化・HP320のポケモンで、そのワザ「ファントムダイブ」によって200ダメージ+ベンチにダメカン6個ばら撒きという強力な攻撃を繰り出せます。

このベンチへのダメカンばら撒きと、進化ラインのヨノワール(カースドボムの効果など)との組み合わせにより、盤面全体に渡る制圧力が環境トップクラスと言われています。実際、優勝者のイトウ選手のドラパルトexデッキもその安定した火力と盤面処理能力を武器に勝ち上がりました。

ドラパルトexデッキはこれまでの環境でも多くの対戦で安定した強さを発揮しましたが、バトルパートナーズに収録された「リーリエのピッピex」の特性「フェアリーゾーン」の登場によって1回のわざで倒されてしまうケースが増えました。そのような対策カードが現れた環境の中ではありましたが、イトウ選手は「CLという大型大会においてドラパルトexデッキを優勝に導く」という大きな成果をあげられました。

対戦最後のシーンでは、相手のマシマシラのわざ「サイコトリップ」によってこんらん状態となったドラパルトexでファントムダイブを宣言し、見事コイントスで表を出して勝負を決めるというとても熱いシーンも見られました

2. タケルライコexデッキ – オーガポンexのエネルギー加速と“きょくらいごう”で青天井ダメージ

タケルライコexデッキは、雷と闘のエネルギーを駆使した高火力《タケルライコex》に加え、《オーガポンみどりのめん》の特性によってドロー+エネルギー加速が特徴ののデッキです。タケルライコex自身はドラゴンタイプのたねポケモン(HP240)で、ワザ「きょくらいごう」による青天井ダメージが特徴ですでしょう。

このワザは「自分の場のポケモンについている基本エネルギーを好きなだけトラッシュし、その枚数×70ダメージ」を与える効果で、エネルギーを大量に用意できれば一撃で300~400ダメージ以上も狙える爆発力があり、高耐久のexポケモンも一撃で倒すことが可能です。実際にCL宮城の環境でも、このタケルライコexデッキは環境占有率・勝率ともにデッキの中でも上位であり、ドラパルトexと並ぶ「二強」の一角を担っていました。

タケルライコexデッキがここまで高いパフォーマンスを発揮できる理由は、そのエネルギー加速手段と多彩なカードプールにあります。《オーガポン(みどりのめん)ex》で草エネルギーを加速しつつ攻撃したり、サポートの《オーリム博士》で古代ポケモンに対してエネルギーをつけつつ手札をリフレッシュしたりと、複数のタイプの基本エネルギーを溜め込む戦術が可能です。

こうして溜めたエネルギーをタケルライコexの「きょくらいごう」で一気に火力に変換し、exポケモンですら一撃で倒してしまいます。CL宮城でもトップ4にタケルライコex使いが残っており、その爆発力で勝ち進みました。

3. サーナイトexデッキ – 瞬間火力と柔軟性を備えた超タイプ

サーナイトexを中心とした超タイプのデッキも、CL宮城で大きな存在感を示しました。サーナイトex(HP310)は特性「サイコエンブレイス」により、自分の番に何度でもトラッシュの基本エネルギーを自分のポケモンに貼り付けられるのが強みです(その代わり貼ったポケモンにダメカン2個を乗せるコストがあります)。

この特性を使って一気にエネルギー加速し、《サケブシッポ》や《ミュウex》《サーナイトex》などのアタッカーで、大ダメージを繰り出すのが基本戦術です。

サーナイトex自身の「ミラクルフォース」(190ダメージ)も極力ですし、《サケブシッポ》によるベンチ狙撃、《ミュウex》のわざ「ゲノムハック」によって相手のポケモンのわざをコピーするなど、相手に応じて多彩な戦術をとれる点が魅力的です。

CL宮城の決勝トーナメントではサーナイトexデッキが4人もベスト8入りする健闘を見せ、準優勝もこのデッキから生まれました。特筆すべきは、環境二強とされたドラパルトex・タケルライコexに対して有利を取りやすい点です。

ドラパルトexやタケルライコexはいずれも多くの場合サーナイトexデッキに対して決定打に欠け、逆にこちらは弱点を突かれないため互角以上に戦いやすいとされています(ドラパルトex側から見るとサーナイトexは弱点ではないものの一撃で倒しづらく、サイドを1枚ずつ取る展開に持ち込まれがち)。さらには、リーリエのピッピの登場により、ドラゴンタイプのポケモンに対して火力を大幅にあげられることも特徴です

実際「今回の勝ちデッキはサーナイトexだった」と評する声もあり、ドラパルトexデッキとタケルライコexデッキの二強環境にサーナイトexが食い込んだ構図でした。

もっとも、サーナイトexデッキには構築とプレイングの難しさも指摘されています。進化ラインが多いため序盤の展開力にやや不安が残り、特性による自己ダメージ管理も繊細で、事故のリスクも他デッキより高めです。そのため「安定感にやや難がある」ものの、ハマったときの爆発力は折り紙付きであり、今回の大会でも数の利を活かしてトップメタに対抗する勢力となりました。初心者にとっては扱いが難しいですが、使いこなせば環境トップを張れるデッキとして今後も注目されるでしょう。

意外な活躍を見せたデッキたち

主要三強デッキ以外にも、CL宮城では独自のギミックやメタカードで武装したユニークなデッキが上位に食い込みました。ここでは特に話題となった2つのデッキを紹介します。

ミロカロスex+リキキリンexデッキ – メタカード満載の対環境コントロール

環境トップへの対策カードをふんだんに採用したミロカロスex+リキキリンexのデッキは、いわゆる「対メタデッキ」として注目されました。このデッキは、水タイプのミロカロスexと超タイプのリキキリンexという2枚のポケモンexが要となっています。それぞれの特性が非常にユニークで、環境上位デッキに刺さる性能を持ちます。

  • ミロカロスex … 特性「きらめくウロコ」により、相手の「テラスタル」のポケモンからワザのダメージや効果を受けないというもの。現在の環境で「テラスタル」の文字が付くポケモンとしては、例えばドラパルトexやリザードンexなどが該当し、これらの攻撃を一切受け付けずに“壁”になることができます。さらにワザ「ヒプノスプラッシュ」で相手バトルポケモンをねむり状態にできるため、攻守両面でコントロール性能の高いカードです。
  • リキキリンex … 特性「テイルアーマー」により、相手のたねポケモンexから受けるワザのダメージをすべて無効にする効果を持ちます 。相手が基本的にたねポケモンexばかりのデッキであれば、このリキキリンexが場に出ただけで相手の攻撃手段を大きく制限できます。例えばタケルライコexやテラスタルバレットと呼ばれるようなたねポケモンexで構成されるデッキに対して極めて強力なメタカードです。

これらに加え、このデッキではオーガポン いしずえのめんexも採用されるケースが多く見られます。オーガポンいしずえのめんexは特性により「特性を持つポケモンからのダメージを受けない」耐性があり、リキキリンexやミロカロスexでは防ぎきれない相手(例えば特性持ちの非exポケモンや2進化exなど)に対する盾役になります。このように役割の異なる複数の耐性ポケモンを組み合わせることで、可能な限りあらゆるデッキの攻撃をシャットアウトしつつ戦うのがミロカロスex+リキキリンexデッキの戦略です。

CL宮城ではこのデッキがベスト8に入賞し、そのメタ性能の高さを示しました。特にドラパルトexやタケルライコexといったトップメタに有利を取れる点は大きな強みで、前回大会のCL福岡でも同系統のデッキが上位に食い込んでいます。

しかし一方で、今大会ではサーナイトexデッキの台頭により、このメタデッキの数自体はそれほど多くありませんでした。

サーナイトexは非ルール(1サイド)ポケモンも多く採用するため、上述した耐性特性だけでは対処しきれない側面がある点が考えられます。実際、CL宮城の決勝トーナメントでもサーナイトexデッキがこのメタデッキの前に立ちはだかった場面がありました。それでもメタゲームを読み切った構築で勝ち上がった点で、ミロカロスex+リキキリンexデッキは「環境に一石を投じる存在」として記憶されるでしょう。

ユキメノコ・マシマシラ+マリィのオーロンゲexデッキ – 奇抜なコンボで魅せたダークホース

CL宮城で配信卓を沸かせた意外性No.1のデッキと言えば、ユキメノコ・マシマシラ+マリィのオーロンゲexデッキでしょう。これは水の1進化ポケモン《ユキメノコ》と《マシマシラ》を組み合わせ、切り札として《マリィのオーロンゲex》を据えた異色のコンボデッキです。ベスト16入りを果たし、Day2の公式生配信でも取り上げられたことで一躍有名になりました。

このデッキの狙いはずばり、相手ポケモンにダメージカウンターを蓄積させてから一気に退化KOを狙うコンボにあります。具体的な戦術を見てみましょう:

  • ユキメノコ》(ユキワラシの進化)… 特性「いてつくとばり」により、特性をもつポケモンに対して継続的にダメージをあたえられます。
  • マシマシラ》… 特性アドレナブレインにより、自分の場のポケモンからダメカン3を相手の場のポケモンに与えることができます。上記の《ユキメノコ》の特性と相性が良く、毎ターン相手にダメージを押し付けることができます
  • マリィのオーロンゲex》… 悪タイプHP300超のアタッカーで、超タイプ(例えばサーナイトex)に弱点を突けるのが強み。耐久の高さとエネルギー加速の特性によってこのデッキではフィニッシャー役となります。

上記のカードを駆使し、まずユキメノコ+マシマシラで相手の場に満遍なくダメージカウンターをばら撒きます。十分にダメカンが乗ったところで、技マシン≪デヴォリューション≫を装備したオーロンゲexが「退化」ワザを放ちます。すると相手の進化ポケモンは一斉に前の進化段階に戻り、既に置かれていたダメカンのせいでHPが足りずバタバタと気絶していく…という痛快な逆転劇が狙えるのです。

このギミックは決まれば非常に強力で、事実このデッキはサーナイトexなど超ポケモン相手には弱点を突いて有利に戦えます。さらにドラパルトexやタケルライコexのような強豪に対しても、逃げられない状況下でダメカンを積み重ね、最後に退化で仕留めるという複数プランを持っているため、一筋縄ではいかない強さがあります。

まさに奇想天外なアイデアを形にしたデッキであり、配信でも観客を驚かせる場面がありました。結果的に優勝こそ逃しましたが、このデッキは大会後も大きな話題となり、今後のシティリーグ等でも活躍が期待されるダークホースと言えるでしょう。

まとめ

CL宮城大会の環境は、ドラパルトexタケルライコexという二大トップを中心に回りつつ、それらに対抗するサーナイトexが台頭する三すくみの様相を呈しました 。

決勝トーナメントもこの3デッキが大半を占め、メタゲーム通りの安定した結果となりましたが、一方でミロカロスex/リキキリンexのような対策特化デッキや、ユキメノコ/マシマシラ/オーロンゲexのような創意工夫あふれるコンボデッキも上位に食い込み、環境に彩りを添えました。特に優勝したドラパルトexデッキは対策を施しながら環境を制し、またサーナイトexデッキの躍進は今後の調整に影響を与えることでしょう。

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